ごましお すこやか《院長の独り言》
ごましお
病気と健康の境目 (20) ごましお 犬を二匹連れて散歩していたら、同じ犬種を連れた方に何歳ですかと声をかけられました。7歳と6歳ですと答えたら、あらーこっちはもうお爺ちゃんね、と言われてしまった。7歳のお兄ちゃんは人間でいえばせいぜい50歳。失礼だなと思いつつ、そうかジジイか、などとからかっていたら、その後お兄ちゃんの様子がおかしい。一人ですねたように寝室にとじこもる。なんだか良くない事を言われているのが理解できるらしいのです。 あわてて謝罪し1週間ほどで機嫌は戻りました。 こんなことがきっかけで2匹をよく観察すると、確かに子犬の時とは違います。外出から帰るといつまでもまとわりついて離れなかったのに、最近ではすぐ飽きる。気が付くといつの間にか一人でじっと寝ている。ソファの上など飛び跳ねていたのが、まず飛び乗れずにひっくり返る。 よく見ると背中に長い白髪が数本生えている。そうか確実に坊ちゃん達も歳を取っていたのです。 この子達とすごす時間は大切にしよう。 と思っていたら、ある時、鏡の中のヒゲに白いものが。なんと白髪を発見。とうとう私も「ごましお」ヒゲになってしまった。犬だけじゃない、いつの間にか自分も年を取っていたのです。 遅く目覚めた日曜日の朝、二匹の犬たちとフトンにくるまってゴロゴロする。鼻の穴に息を吹きかけると、いやがってマクラの下に鼻を隠す。面白がってそんないたずらをしながら、今日は何を食べようかな、どこに散歩に行こうかな、などと考える。ゆっくりと漂う時間。 心配事や不平不満はたくさんあるけれど、こんな日常を過ごせる今が案外一番幸せなのかもしれない。 それに気が付かないとせっかくの「今」が不幸になってしまいます。 おはらクリニック 大原 元太 |
