すき間の犬 すこやか《院長の独り言》
すき間の犬
病気と健康の境目 (10) すき間の犬 毎朝空が明るくなる頃、2匹の犬を連れて散歩する。時間とコースによってたまに顔を合わせる人がいるので、「おはようございます」と声をかけてみる。元気な「おはようございます」が返ってくると、とてもすがすがしい気持ちになって一日が始まる。たったそれだけで周囲の人に気持ちよく接すると、周囲の人たちも気分良く仕事ができる。自分には何の見返りも無く、一見無駄に見えることも日常生活や世の中の潤滑油になるのだ。 中には声をかけても無言で通り過ぎる人もいる。がっかりする。確かに物騒な世の中だし、気持ち悪い人と思われるかもしれないけど。人の世の中そんなもんじゃないでしょ、と思うのは間違っているのでしょうか。うつむき、地面を見つめてただ黙々と「運動」して自分の健康にしか興味が無いのだろうか。 ある家に、塀のすき間から半身を出して外をながめる犬がいる。塀の外には、狭い路地の向こうに見上げるような石垣がそびえているだけで、何もめずらしい物は見えない。いつ見ても彼は空を眺めており、うつむいている姿は見たことがない。「おはようございます」と声をかけてみる。返事は無いが、見えなくなるまで見送ってくれる。うれしい。 健全な魂は健全な肉体に宿る、と言うけれど、病人にだって健全な魂は宿ります。一つや二つ病気があっても、本人の考え方次第で健やかな生活を送ることができます。最近、青空や雲、月や星をながめてみましたか。まずは視線も気持ちも上向きに。上を向いて歩いてみましょう。 おおはらクリニック 大原 元太 |
